既存の有限会社は、何もしなくても新会社法が施行された後、特例有限会社として今までどおり運営を続けて行く事が出来ます。
しかし、一定の手続を踏む事で信頼度の高い株式会社に移行することも出来ます。
では、既存の有限会社はどうすればいいのか?
経営者としてはとても気になるところだと思います。
ここでは有限会社を株式会社に変更した時のメリットとデメリットを見ていきましょう。
株式会社に変更するメリット
1.イメージ的に信頼度がアップする
株式会社に変更する事で一番のメリットは信頼度がアップする事です。
この理由だけで、株式会社に変更しようと考える方は多いと思われます。
2.柔軟な機関設計ができる
特例有限会社では、取締役、株主総会、監査役、代表取締役しか置くことができません。
しかし、株式会社では取締役会を置いて経営者の権限を強化したり、会計参与を置いて計算書類の正確性を外部にアピールする事ができます。
3.会計参与を置くことができるので、融資の話を進めやすい
会計参与は公認会計士(監査法人を含む)・税理士(税理士法人を含む)のみが就任する事ができます。
そのため、会計参与が設置されている会社の計算書類は信頼性が高いため、銀行などの融資の際に会計参与が作成した書類を添付する事で、融資の話を進めやすくなります。
この点も非常に重要なメリットだと思われます。
4.株式会社の譲渡制限が柔軟にできる
株式会社であれば、株主間の株式譲渡についても制限をかける事ができます。
これによって、株式の持分を増やさせたくない株主がいる場合でも、その株主が更に株式を取得するなどして、権限を強化させる心配がありません。
5.その他の細かいメリット
・株式交換や株式移転ができる
・吸収合併存続会社や吸収分割承継会社になれる
・特別議決の要件が特例株式会社より緩い
株式会社に変更するデメリット
1.取締役・監査役の任期がある
会社法において、株式会社は取締役の任期が2年、監査役の任期は4年となっています。(定款で定める事で10年に延長する事も可)
任期を10年にすれば、役員変更の費用はほとんど気になりませんが、役員変更自体を忘れてしまわないようにしなければなりません。
2.決算公告の義務がある
特例有限会社では決算公告の義務はありませんが、株式会社には決算報告の義務があります。
実際には、決算公告をしている会社は一部ですが、いつ規制が厳しくなるかは分からないので注意が必要です。