既存の有限会社は、何もしなくても新会社法が施行された後、特例有限会社として今までどおり運営を続けて行く事が出来ます。

しかし、一定の手続を踏む事で信頼度の高い株式会社に移行することも出来ます。

では、既存の有限会社はどうすればいいのか?

経営者としてはとても気になるところだと思います。

ここでは特例有限会社のメリットとデメリットを見ていきましょう。

特例有限会社のメリット

1.取締役、監査役の任期が無期限

会社法において、株式会社は取締役の任期が2年、監査役の任期は4年となっています。(定款で定める事で10年に延長する事も可)

しかし、特例有限会社の場合は、取締役・監査役の任期は無期限となっていて、数年ごとの役員変更の届出が不要です。

2.決算公告の義務が無い

会社法において、株式会社は決算を公告しなければなりません。

しかし、特例有限会社の場合は、決算公告の義務はありません。

実際に決算公告を行っている会社は一部の株式会社しかありませんが、最初から免除されているというのはメリットです。

3.その他細かいメリット

・大会社でも会計監査人による監査が不要

・休眠会社のみなし解散の適用除外

特例有限会社のデメリット

1.融資を受けるのが難しい?

株式会社であれば、柔軟な機関設計ができます。会社法では、新しく会計参与という機関ができました。

これからの時代、銀行などに融資を依頼する時に、「会計参与を設置していますか?」と聞かれる事が予想されます。

それはなぜか?

会計参与が会社に入っていれば、会計の専門家が会社の計算書類を作成している事になり、その正確性から、書類を提出してもらう事で、融資の話を通しやすくなるためです。

しかし、特例有限会社は会計参与を設置する事ができません。

そのため、上記メリットを受ける事ができません。このデメリットはなかなか痛いのではないでしょうか?

2.株式会社に比べてイメージ的に信頼性が劣る?

なぜか世間ではこのようなイメージがまだ残っているようです。

このため、融資などの話で苦労されている社長も多いと聞きます。

有限会社と言っても、経営がしっかりしている所も多いので、個人的な考えとしては株式会社と比べても遜色ないと思っています。

でも実際はなぜか株式会社より信頼性を疑問視する声が多いようです。

確認株式会社のように資本金1000万未満の株式会社が多いのに、このようなイメージが払拭されないというのは困ったものです。

3.株主間の株式譲渡について制限をすることができない

特例有限会社の株式譲渡制限は、旧有限会社の持分譲渡と同じです。

そのため、第三者に株式を譲渡する事には制限をかける事ができますが、株主間の譲渡を制限することはできません。

その結果、あまり権限を持って欲しくない株主に対しても譲渡制限をかける事ができないということになります。

その他の細かいデメリット

・株式交換や株式移転ができない

・吸収合併存続会社や吸収分割承継会社になれない

・特別議決の要件が厳しい

 

どうでしょうか?

特例有限会社のメリットとデメリットを見ましたがどう感じましたか?

いろいろとありますが、今は有限会社を作ることができませんので、個人的には特例有限会社のままをおすすめしています。

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